中谷風の瀋陽日記

 小抄(儿)xiaochao(r):カンニングペーパー
 放課後、外国人教師の部屋で学生と話し合う機会がある。今日、談たまたま、京大のネットカンニング事件に及んで、日本ではかなり問題になったのだと説明した所、学生はたちどころに、中国の方がずいぶん前からひどいという通説を教えてくれた。例えば、大学入試資格試験ではプロ集団が受験し、試験開始30分後に可能となる退出時に退出し、ユーザーの受験生に与えた受信機に向けて、複数のプロが回答した解答例を送るそうだ。たしかに、複数いて手分けすれば、時間の半分以内に全問の解答例を出すことができるはずだ。さすが、科挙の国、中国だけのことはあると感心した。かつて、京都の藤井有鄰館にある「小抄衫」(カンニングシャツ)と言ったら良いのか、「四書五経」をびっしり書いた中国服を見たことを思い出した。今や、焦眉の問題となりつつある「小抄」は自動車運転免許試験から、大学入試、果ては、語学能力試験、漢方薬剤師試験などにまで及んでいるとのこと。その蔓延、徹底ぶりに感心させられた。日本の事例など可愛いものだ。
 ここにもまた、中国四〇〇〇年の伝統を感じたりもする。