中谷風の瀋陽日記《5月》

 丹東
 瀋陽から高速道路瀋丹線で約3時間、丹東に辿り着く。途中、改修工事などがあって、渋滞も予想されるからと朝5時の出発となった。運転する範さんを入れて総勢11人。8時過ぎに丹東につき、「抗美援朝戦争記念館」に着いたのが8時半だった。約30分周囲を散策した後に、入場した。1950年6月から1953年7月までのすべての中国義勇軍・解放軍が参加した戦闘の微細な部分の記述、展示、ジオラマなどがあった。一つ印象に残ったのは、「上甘嶺(シャンカンリン)」の戦闘を記した部屋で、来場した中国人の老いも若きも異口同音に「ああ、上甘嶺(シャンカンリン)」とか、「おお、上甘嶺(シャンカンリン)」とか言って立ち止まったことだ。誰もが学んだことがある戦闘なのだろうと推測できた。
 展示の最後の方は、中国と北朝鮮のその後の交流、援助などで終わっていたが、中国と北朝鮮の関係はいわば「おびただしい血で贖った友好関係なのだ」と納得させられた。孤立を深める北朝鮮を最後まで見放さない一つの理由がここにあると理解できた。(続く)