中谷風の瀋陽日記

 読書会
 『1Q84』の読書会をやっとできた。日本語が得意な2人の男子学生の提唱で、懸案の読書会を計画から2か月目でやっと開くことができた。卒業生が男子3名、女子2名、現3年生の女子が4名、そして、私の計10名が青年大街の「スターバックス}に集合した。今の瀋陽には、コーヒー1杯で粘れるところはスタバぐらいしかない。コーヒーはモカカップのアイスコーヒー(上にクリーム)で23元だそうだ。確かに割高だが、2,3時間の会議場所の値段にしては安い。
 卒業生は全員1〜3巻を読破しており、現3年は、他の作品は読んだことがあるが、この作品は未読という子が多かった。1人はつい先日、日本出張の父親に頼んで、「1Q84」を購入したばかりだった。
 話は「精神の囲い込み」に対抗するとはどういうことなのかから始まって、全体主義に対抗すること、オーウェル『1984』の小説世界の紹介と話は進んだ。「牛河の物語」の登場人物はなぜあんなに少ないのかとか、安達クミ(看護婦)の存在はこの小説ではどんな意味なのかなどの質問には、私は全く答えられなかった。作品に聞くか、作者に聞いてくれというほかなかった。最後に性描写についてどう思うかと聞くと、「やらなければならないからやっているという性だ」と男子が答えた。その乾いた感じの描写はサリンジャーの影響なのだろうかとも話し合った。
 彼らはほとんど日本語で対応した。時々卒業生が、後輩に教えるときは中国語を使っていたが、私の前では日本語を通そうとしていた。天晴れだと思う。そして、同じような読書会を日本の高校3年を対象に行ったら、こんなに盛り上がったかなと不図考えたりもした。