氷ー瀋陽日記

 松花江の凍った河を歩いてみたいと思っていたが、それが今回、実現した。
昔は「キタイスカヤ」(中国街)と呼んでいた通りは今「中央大街」と呼ばれている。
この通りの左右にはかつてロシアがこの地を拓いたころからの歴史的建造物が幾つか残されていた。

観光コースの定番として、まずはロシア風のネギ坊主の屋根が特徴のソフィスカヤ寺院に立ち寄った。3時半過ぎの日の陰りが感じられる頃であったが、多くの観光客が寺院の中に吸い込まれていく。この寺院の前の通り、兆麟街を少し南下し、交差する東西の道・石頭道街を西に1㌔ほど行ったところに中央大街はある。丁度花金の4時過ぎだから、アベックや観光客がかなり多い。
 通りはホコ天のように、車の通行はなかった。古い石畳の道を、周りの景色、特に建物を確かめながら南下したが、ここでも、古い建物の有効利用・動態保存ぶりに感心した。1910年代の建物が今も現役で働いている。モデルンホテル、秋林洋行、松浦洋行という古い名を持つ建物たちである。


 中央大街の突き当り、松花江の河畔に防洪記念塔という松花江の水害に打ち勝った記念の塔が建っていた。そこがスターリン(この名を聞かなくなって久しいが)公園と今も呼ばれている。
 公園の堤防から下を見ると、多くの市民が川の中でスケートや橇で遊んでいた。これが、凍った河なのだと分かると嬉しくなってきた。
 下に降りて確かめてみると、氷は50㎝位の氷の層が何層にもなって積み重なっているように見える。(少なくとも見える範囲では1m以上の厚さはありそうだ)。

 おそるおそる、川の中ほどまで行ってみたが、一面、氷の河だ。川の上流に沈む夕日がとても美しかった。