南京ー瀋陽日記

 河村発言について、心ある人と話していると、中国人に与えた印象ははなはだ悪く今も続いているようだ。というのは、4,5日前まで、「yoku」などの画像紹介サイトにはこの件に関する報道を紹介した映像へのアクセスがかなりあったように見られた。 
 念のため、「tudou」も調べたが、近頃はそれに関する映像はない。ところが日本のネットを見て驚いた。「新しい歴史教科書を作る会」などが「河村支持緊急国民運動」なるものを提起してさわいでいる。某新聞もその尻馬に乗っているのか、煽り立てているのか、あまり気持ちの良い動きではない。
 そもそも河村発言とは、次のような物だ。

南京事件を勉強してきて、一般的な戦闘行為はあったが、虐殺は無かったというのが私の立場です。 出典中日新聞
・事件から8年しかたってないのに、南京の人は日本の軍隊に優しくしていたのはなぜか。 出典スポニチ Sponichi Annex 社会
・市長の父親が南京で終戦を迎えて(現地の人たちに)本当に親切にされた。父親が死ぬ前に「南京で優しくしてもらって、はよ帰って来られたんだわ」と言っていた。南京事件があったとされるのは終戦の8年前。虐殺があったところでそんな優しくしてもらえない。日本軍はどこでどういう戦いがあったか、戦闘詳報を残してますから、抽象論じゃなくて、そういうところを一つずつ分析していけばいい。       出典中日新聞
・30万人の一般市民を虐殺したと語り継がれている。(歴史認識を)正すのが私の社会的、政治的使命だ。  出典47NEWS(よんななニュース)

まだあるのだが、他は、2次的資料であろうと考えられる。この中で、発言の趣旨や意図を比較的正確に伝えているのが中日新聞の記事のようだ。
 上から3つめの記事を読んで、河村市長の歴史認識のお粗末さにビックリした。この記事の中で(記事が正確に彼の発言を捉えているという前提で)、事実として挙げられているのは彼の父親の発言だけである。そして、その発言を根拠とした彼の推論が書かれているだけである。
 どれだけの元軍人の父親が戦後生まれの息子に、それが辛かったり残虐だったりした事実を、しかも自分が多少なりとも関わりのある事実を、心の痛み無しに、正確に伝えることができただろうか。(続)