消費税ー瀋陽日記

 日本では消費税値上げを巡って、民主党内部での分裂騒ぎが起こっているが、中国では以前から20%の消費税である。内税方式らしく、商品の値段にすでに含まれているようで、どれ位消費税を払っているのかという実感はなかった。
 先日飲食店に行ってお金を払った時に、その思いもかけない仕組みに気が付いた。代金を支払うときに、レジ係は「領収書は要りますか」と聞くのだ。要りますといえば、代金の領収書をくれる。しかし、ほとんどの客は要らないという。すると、その場で、飲み物をくれたり、チューインガムをくれたりする。なぜかというと、店は領収書を発行した売り上げの額に応じた消費税を国庫に納入するのだ。領収書を発行しなかった売り上げは存在しなかったことになる、その消費税も。店も協力してくれた客に20%の何割かを還元するのだ。それが飲み物になって返ってくるという仕掛けである。どうしてかというと、正直に払ったとしても、それが国庫に納入されて国の予算に使われるのは、ほんの一部に過ぎず、多くは中間にいる役人や幹部たちの懐に流れ込んでいくだけだと言うのである。
 昔の白話小説にでも出てきそうな話である。日本なら、さしずめ、水戸黄門のなかの悪代官が「越後屋、お前も悪よな」と言いながら賄賂を懐に入れる場面などが目に浮かぶのだが、こちらは、もっと機能的に、ドライに割り切ったシステムになっているようである。