再訪3ー731部隊

 10月2日、ガイドと9時半にホテルのロビーで待ち合わせ、朝からいきなり、731部隊の旧跡を訪問することにした。その施設の正式名は「侵華日軍第七三一部隊旧跡」という。この2月に一度訪問しているので、私は2回目だが、妻は初めての訪問である。
 その施設のことをよく知っているからだろうか、ガイドは入り口で入場券の代わりになるような、日本語音声ガイドの機械を借りてくれて、後は自分でご自由にと放り出してくれた。
 その結果、夫婦でじっと展示物・パネルを睨んだのだが、2回目でも、やはり気の重い時間を過ごすことになる。連休中のこと故、多くの中国人観光客も来場していて、ガイドの説明にいちいちうなずいたりしながら、足早に過ぎていく。そんな中に、5.6才の子供連れの夫婦がパネルを見ていたのだが、母親が子供に何か説明した途端、「小日本!」と子供が語気を強めた。「島」の問題で、かなり意識過剰になっている私にしたら、そういう罵りは耳朶を打つ。
 前回はガイドも無く訪問したために見落としていたものもあった。その最たるものは、敷地の一角に少し離れて見える「ボイラー」の煙突の残骸である。

 「引き揚げに際し、石井部隊長は施設の徹底的破壊を命じたが、ソ連軍の侵攻が早かったためボイラーの一部やペスト菌を培養するために使うネズミの飼育室などが廃墟のような姿を残していた。」(観光コースでない「満州」小林慶二・高文研158頁)

 もう一つ、地下道の陥没後も2月に来た時は見落としていた。

この写真は、「二木班病理試験室」と称せられるもので、爆破破壊を免れた数少ないものだと説明があり、この施設で「結核菌の研究実験を行っていた」とあった。