松花江ー瀋陽日記

 秋口の松花江の趣は、冬とはかなり違っていた。
 冬の凍てつく寒さの中で凍った川面が夕日に輝いていたが、今はさわやかな秋風とともに、さざ波が立っている。遊覧船が停泊しているが、客が無いからなのか、出発時間にまだ間があるからかいっこうに動き出しそうにも無い。すぐ側を、対岸の太陽島まで伸びたゴンドラがゆっくりと動いている。

この辺りの広さは約2㎞とのことだが、実際に冬に歩いたときはもう少し遠いようにも思ったものだ。
 この川縁の公園は今でも「スターリン公園」と呼んでいる。幅は50mから100mで長さが3㎞ほどのものだが、本国のロシアではもはや過去のものとなっているスターリンの称号が、この中国では生き残っているのだ。そういえば「スターリン主義的●●主義」も健在であるのだから、当然かも知れない。
 というようなことはさておき、ロシア料理で有名な店に繰り出すことにした。席についてすぐに、ガイドは私達は別な場所で良いですよと言ってくれたのだが、ガイドを依頼した瀋陽のコウさんにも言っていたようにガイドも運転手も同じ食事にしようと提案した。その方が楽しいだろうと思ったのだが、これは私の目算違いであった。予算をはるかに超える料金を支払わざるを得なかった。
 鱈の切り身を野菜で挟んで、オーブンで焼き上げた風のもの。料理の名前を書き留めるのを忘れていた。
 

 これが有名なボルシチだという。確かにふくよかな味わいだった。値段は殆どの品が、60元〜100元もする。味は良いのだが、乏しい懐を計算するとゆっくり味わっている余裕が無くなってきた。カードで払うことにしても、なぜか、気持ちが落ち着かない。