中谷風の瀋陽日記

 果物2(西瓜の自爆)
 中国の果物について、いろいろ面白い(?)話がある。西瓜が爆発したという話。これは実際にあった話だと学生が紹介してくれた。西瓜生産農家が大型の西瓜を早く出荷しようとして、糖質や成長促進剤を西瓜に注射した。ある晩、畑の西瓜が一斉に爆発しだした。どれも注射したものだった。漢文の初歩で習う「助長」と同じような話が現代の中国でも起こるのだ。学生の話は続く。悔しがった農民はその西瓜を全部、豚の餌にしたということだ。
 真夜中、畑で西瓜が次々と爆発する場面はシュールな絵のようだ。「西瓜が自爆」する悲しい場面なのかそれとも滑稽な場面なのか。
 続いて、西瓜の話。学生が母とともに入院中の祖母の見舞いに行った。西瓜が好きな祖母のために母は果物店で大ぶりな西瓜を一つ買った。病院について祖母に食べさせようと包丁を入れたら、中はまだ白っぽくて熟してはおらず、しかも異様な薬品の匂いがした。3人とも食べるのをあきらめざるを得なかった。
 こういう話はかなり頻繁に聞くという。老年の夫婦がニラを買ってきて、料理に入れようとした。小鳥を飼っていたので、いつものように、小鳥の分をかごに入れてやった。すると、その場で小鳥が死んでしまった。夫婦は勿論食べなかったが、可愛がっていた小鳥を失ったことで、ひどく落胆していた。ニラに大量の農薬が残っていたからだということだ。
 食の安全については、中国人もかなり神経をとがらせてはいるようだが、今回の事件だとか、毒入り粉ミルク事件などと言ったことが後を絶たない。これを根絶したいと学生たちは言うのだが、そうそう簡単には物事が動かないようだ。