中谷風の瀋陽日記

  蚊
 アユさんが今朝、唇を腫らして食堂に入ってきた。また虫にやられたという。今年に入って2回目だ。1回目は妙齢の女性のことゆえ、大騒ぎをして病院に行き、薬をもらってきたのだが、今日は少し冷静で、夜中に蚊がいて、顔の周りを飛んでいたので、殺虫液の入った自動薫蒸機のようなもの(日本ではなんというのか?)を付けて寝たそうだ。ところが起きてみると、見事に唇が腫れ上がっていたのだ。
 実は、僕も夜中に目が覚めて、右手の甲が異様にかゆく膨れ上がっているのに気付き、急いで例の薫蒸機をつけて、寝たのだった。朝方には腫れがひいていたので、あまり気にしてはいなかったのだが、昨日窓を開けて空気を通していた(勿論網戸はあるが)のを思い出した。蚊がどこかから侵入していたのだ。
 こちらの蚊は少し茶色がかっていて、日本の蚊より幾分たおやかに見えるのだが、咬まれると痒みよりも腫れがひどい。所変われば蚊も変わると誰かが言っていたが、もう一つチクリと痛いのもいるらしい。
 学生たちも悩まされるらしく、寮では一人一人の蚊帳があって、その中に潜り込むようにして寝るのだという。
というのも火事を恐れて蚊取り線香を使用できないため、個人用の蚊帳を入学時に買うのだという。自分の蚊帳の中に蚊が紛れ込んだときは悲惨だ。朝目覚めると、手足や顔の至る所に痒みが走り、探し回ると、蚊帳の上辺にお腹を膨らませてヨタヨタしている蚊を発見したりする。叩くとたっぷり吸われた自分の血で手が赤くなる。
 学生たちは目をキラキラさせながら、蚊退治の一幕を語ってくれた。昔、蚊帳の中に入った1匹の蚊を退治するために、大騒ぎして蚊帳を畳んでお尻の下に敷いていたことを思い出した。勿論、子供の頃だが。
 今日、2つ目の薫蒸機(中国名「雷達(raid)」=電熱蚊香液加熱器)を急拠、買ってきた。今、スカイプで確かめると、日本では「アース・ノーマット」というらしい。(あんまり面白くない命名だが。)
 今晩はきっと安眠できるはずだ?!!?。