中谷風の瀋陽日記

 トマト(番茄fan1qie2)
 太極拳のコウ老師(先生)がトマトを持ってきた。自分の菜園で作ったという。日本のフルーツトマトのような小ぶりだが赤く熟したトマトで、噛んでみると独特の酸っぱみと風味がした。市場のものと少し違うと思った。参加者全員に行きわたっていたが、口をそろえて美味しいと言っている。
 このコウ老師の師匠がスン老師なのだが、娘さんの結婚とか出産とかで南の方に行っている。娘の出産という情報は、太極拳に参加しているオバさん連中の話からであるが、結婚とかいうのは、82歳の退隠教授の話からだ。退隠教授の奥さんも太極拳の参加者である。奥さんは6つ年下であるということだが、その話をしたとき、奥さんは「余計なことを言わないで!」と憤然としていた(ように見えた)。げに、幾つになっても女性に年齢の話は禁句なのだ。洋の東西を問わず。
 コウ老師は夫婦で前に立って範示してくれる。奥さんは格はご主人より下がるようだが、柔軟な身のこなしは群を抜いている。スン老師を小振りにしたようだ。2人が前に立つと、息がぴったりとそろっている。さすが夫婦だと感心する。これからは番茄夫婦と呼ぼうかな。