中谷風の瀋陽日記

 領事館
 瀋陽の領事館は例の脱北者の亡命事件でつとに有名ではあるが、あれほど警戒態勢が厳しいとは知らなかった。
今日は学生の主催する日本文化講座の必要物品を借りに領事館に行ったのだが、事前に連絡していたにもかかわらず、ゲートを開いてはくれない。どうしてというと、「規則だから」とのすげない返事。そこにやっと領事館関係者が現れて、上との連絡の後、ようやく通行が許された。約束の時間から、すでに20分は遅れていた。この日は、不意の豪雨で、領事館の南側の二筋ほど南は道路が冠水して、渋滞が起こっていた。それを圧して、領事館入口に来たが、そこは閉鎖。確かめて、ぐるりと回った反対側のアメリカ領事館の角に、そのゲートはあった。
 領事館の中も、また、厳重なセキュリティが施されていた。いくつものドアを、いちいち電子チェックして初めて次の部屋にはいれる、どうしてこんなに厳重にと思うほどだった。それも例の事件の余波なのか。
 和服や茶器などを借りて帰ったが、学生も我々もかなり神経が疲れた。私や学生にとってはいい経験ではあったが。