中谷風の瀋陽日記

 不良品
 日曜日に、スーパーで買い物をした中で、不良品があった。我々が共用で使用する自転車の修理のために購入した工具セットである。
モンキースパナ、ハンマー、ドライバー(先端の着脱式)、メジャー、ペンチの5点セットであったが、持ち帰って使おうとしたら、ペンチがない。そういえば、買ったとき確かめなかった。電気製品でも、ケースから出して通電を確かめて買う原則の中国で、ケースに入っているものを確かめるまでもないと考える日本的甘さで買った自分の不注意さにがっかりした。そして、やられたと思った。誰に、ケースの中からペンチだけ抜き取っていっただろう不心得者にである。まあ、しょうがないかと、自分の不注意を理由に諦めかけたが、待てよ、これを交換してくれと言ったらどう出るのだろうか、と試してみよう精神がむくむくと立ち上がってきた。丁度、約束していた会話の相手の学生に、「この商品は、私が購入した時にすでにペンチがありませんでした。他のものと交換してください。」という文を中国語訳して貰って、昨日(火曜日)に出かけた。
 例のメモと現品及び領収書を示すと、係の店員はしばらく顔を見合わせていたが、同じ品物を探して持ってくるようにと言った。先日の売り場に行ったら、1セットだけが残っていた。恐る恐る開いたら、今度は5点そろっていた。それを持っていくと、あっさりと交換してくれた。
 ああ、ホッとした。これで、中国のスーパー事情で、悪口を書かなくて済む。
 今日、メモを訳してくれた学生に報告すると、居合わせた学生ともども、よかったすですね、と言ってくれた。彼女たちもうれしそうだった。私も勿論、うれしかった(品物が交換できたことと店の良心的な対応が)のは言うまでもないが。