中谷風の瀋陽日記

 蘇軾(東坡)
 ウォルマートというスーパーで買い物をしていて、少し本が置いてある一角が目に留まった。ほとんどが、料理、健康法、などのハウトウ物か子供の絵本などだが、易しい古典の解説書などが並べてあった。そこで、唐詩宋詞の本がないか探してみた。約10分ほどで見つけた。70㎝ほどの平積みの底の方にあった『唐詩宋詞・元曲』という解説本を見つけて、中味を点検してみた。書の手本になりそうな漢詩唐詩300首、宋詞300首、元曲300首と収録されていた。基本的な注釈と現代文の解釈が付いている。すべて簡体字なので、書にするときは繁体字に直して書かなくてはならないので少し面倒だが、詞の意味などを理解するには十分だ。今回は蘇軾の「念奴嬌-赤壁懐古-」を調べたかったからだ。”レッドクリフ”で知られたあの赤壁を詠んだ詞だが、昔、岩波の『中国詩人選集』で読んだような気もするが、あまりよく覚えていない。書を前にして細かな部分がもう一つ理解しにくかったので、本を探していた。
 詞は曹操の百万の大軍を連環の計で打ち破った呉の周瑜とその妻小嬌を歌い、最後は我が身を振り返り、黄髪を嘆き、「人生夢の如し」と呟き、盃を長江にかかる月に手向ける、という趣向。日本人がとても好む詞だからと、書の先生が臨書の手本に書いてくれたものだ。