合格ー瀋陽日記

 神戸の日本語学校にいたころの教え子から連絡があった。中京地区の県立大学に合格したというのだ。幸先のいい話で、これで彼も国立大学には思い切って挑戦できるようになった。本人や彼女、そして中国の両親の笑顔が思い浮かぶ。
 本来、彼は経済か経営の希望だったのだが、今年に入ってからは、日本文化や比較文化に興味を持ち始めたようだ。そのきっかけは、私と勉強した古文の学習にあるようだ。
 神戸大学の留学生2次試験は、日本人学生と変わらない問題を課すらしく、昨年の一時期毎週1回は古文学習をした。古文の動詞の活用とか助動詞の活用なども覚えて、彼は高1の終わりから高2レベルの知識を持つようになったが、受験のレベルまでは到達できなかった。しかし、彼は万葉や古今の歌、あるいは徒然草などに興味を持った。今年も、一人で古文の学習は続けたようだ。そういう彼の努力が実ったものだと思う。
 どんな形にしろ、日本文化や日本文学に興味を持ってくれる学生がいてくれることにがとてもうれしい。先日読んだ「謝謝!宮沢賢治」の著者王敏(ワンミン)さんなども日本語学習から日本文学、宮沢賢治研究に転じ、賢治研究家として優れた業績を残すようになっている。こんな形で日本と触れ合うことができる留学生もいてもいいのではないか。