731−瀋陽日記

 哈爾浜に行く前から「侵華日軍第731部隊遺跡」には行かなければならないと思っていた。ホテルのフロントに聞くと駅前広場の南方のビルの裏手にバスの発着所があり、その乗り場から338番か343番のバスに乗ったら行けると聞いて、バス乗り場を目指した。地下道を潜ったり、タクシー乗り場の側を無理に横断したりしながら、バス停に着いた。折よく、343番のバスが来たので、急いで乗った。バスははじめ南に向かい、途中から西に向いたようだが、良く分からない。ちゃんとした地図も持たずに来たのだから、頼れるのは、手元にある、中国語の市内ガイド図と地球の歩き方「中国」だけだ。不安なので隣りに座ったおじさんに聞いたら、前の席の奥さんが答えてくれた。近くなったら教えてくれるらしい。駅から40分ほど走った時、小母さんが次だと言ってくれた。降りしなに前に行けと言われて、前にいたのだが、前にいた2人が降りた途端バスが動き出した。あわてて「降りる」と言ったら、バスの運転手が扉を開けないで何か言っている。「降りたいのだ」と言っても、なかなかドアを開けないで、何か言っている。私はてっきり「どうして、前に来ていないのだ」と言っていると思って、説明のしようもなく、困った挙句に、「言葉が分からない」と言って待っていたら、運転手は不承不承ドアを開けてくれた。どうして、こんな意地悪をするのだと思っていた。しかし、実は、私の方が間違っていたことに、帰りの便が駅に着いた時に気付かされた。初乗りは1元だが、郊外から乗った場合はもう1元必要だったのだ。すると、行く時の運転手が早口で語気鋭く言っていたのは、もう1元払いなさいと言うことだったのか。
 うまく行かない時は続く、バスを降りてまずどの方向に行ったらよいのか皆目見当がつかない。近くで道路掃除をしていた小母さんに聞いたら、自信なさそうに、向かって左側の道を指して、この道を行ったらその先にあると答えた。ありがとうと答えて、その道に向かいかけたのだが、小母さんの返答ぶりが何か気になる。もう一度、通りかかった小学生の孫娘を連れた女性に聞いてみると、なんと真反対ではないか。1、2もなく後者の説を採用した。この道をまっすぐ行くと右側にあるとゆっくりとした口調で教えてくれたのだから。(続く)
   
 写真:左、正面  右、バス停からから7,8分で記念館が見えた。