長春ー瀋陽日記

 長春は美しい街だ。何と言っても、緑が多い。街の至る所に公園があり、町のロータリーまでがこんもりした緑に覆われている。6月23日(土)の朝方は雨模様だったが、9時頃からは雨も上がって曇り空に変わってきていた。雨に濡れた6月の緑が輝いていたからだろうか。

写真は新民大街と自由大街、工農大街、延安大街が交差するロータリー・新民広場の情景である。写真の右側がロータリーなのだが、全くの森になっている。
 この新民大街は旧満州国の首都新京の官庁街を貫く道路で、さしずめ「新京霞が関」とでも呼ばれていた所だろうと思う。上下の車線を分ける緑地帯(中央分離帯)は30mほどの広さで樹齢80年に及ぶだろと思われる松が中央に植えられていて、鬱蒼とした天蓋になっている。その下にも丁寧な植栽がなされていて、80年前の往時を偲ぶことができる。

この日は、長春駅前から221号の路線バスで吉林大学第1病院(吉大一院)を目指した。一駅早く、文化広場で下車したため、吉大一院を目指して歩いたのだが、進行方向の左側南南東の方向に日本風の屋根をした風変わりな建物が見えた。近寄ってみると、案に相違なく、偽満州国軍事部旧址(偽満軍事部)であった。今は吉林大学の病院の一部として活用されているらしい。沢山の人の出入りがあって、大賑わいの玄関であった。
その向かい側には、日本の国会議事堂を意識したと思える建物があった。それが偽満国務院であった。
国務院の中に入るとべチューンの銅像が見えた。その前で女子学生の一群が笑いさざめきながら、写真を撮りあっていた。どこの国でも女子学生は姦しくて、愛くるしい。近寄って行って、写真を撮ってもいいかと聞くといいと答えた。写真を一枚撮ると、彼女らのカメラで全体写真を撮ってくれと頼まれた。勿論快諾した。聞くと、吉林大学の薬学部の学生だといった。何年生かは聞き忘れたが、今年の入学生かも知れないと思った。同僚が高校生みたいやなと言っていたからであるが。