長春5−瀋陽日記

 長春の第1日目はほとんど「偽満皇宮」の見物に費やされた。
 駅頭に立った時、一種の既視感に捕らえられた。瀋陽や大連の駅で感じたものと似ている何かだ。それは、一定の広さがありながら、ほとんどが駐車場に変わっていて、その周辺の道を縦横無尽に走る車の列をかいくぐるようにスイスイと渡っていく乗降客の姿などだ。そして、駅舎のたたずまいもどことなく同じ匂いがするのだ。それもそのはず、大連、瀋陽長春ともに、駅舎の設計者は日本人だったはずである。幸い(?)3つの駅舎とも以前のままである。
 


 予約したホテルが見当たらなくて。あちこちで新聞を売っている小母さんなどに聞いてみるのだが、皆「知らない」と首を横に振る。しばらく悪戦苦闘して、駅の方を振り返ってみると、あるではないか。駅前広場の北隅の鉄道線路に接せんばかりの所に、目指すホテルはあった。小母さん「知らない」と答えたのは、私の中国語の意味が取れなかったからだろう。
 駅前広場を斜めに横切って、ホテルまで行くことはできないので、我々は、駅前地下街に入った。結構広く長い地下街は、やはり地上以上に人でいっぱいである。中国はどこでも人が多いのだ。
 ホテルでチェックインをしたのだが、私の名前が見当たらない。名刺を出したりして確認したら、恐らくこれだろうと言う訳で入れてくれた。チェックアウトの時に分かったのだが、名前が見事に文字化けしていた。なんと「中古士」となっていた。「俺は中古侍か」と妙に納得したものだ。