天壇ー瀋陽日記

 地下鉄5号線は割と混んでいた。日本の地下鉄のように、立錐の余地もないといった混み方ではないが、座席は100%埋まって、立っている乗客がほぼ同数といった感じで、繁華街での乗り降りも激しい。後で、ガイドブックで確かめたのだが、王府井の近くの「東単」駅も四つ目に通りすぎた。その時は人の出入りは激しかった。同行してくれたKさんが腕を吊っているのを見て、若者が席を譲ってくれた。彼女はお礼を言って座った。総じて、中国では障害者や老人に対して若者も率先して席を譲る。瀋陽などの田舎町でも、バスの中では僕なんかもしょっちゅう席を譲られる。ただ地下鉄の中では、かなり頻度は減っていたのだが、この北京では、その公序良風は生きていた。3駅ほど座っていると、「天壇東門」駅だった。
 アプローチが少しあって、30元の入場料を支払って中に入った。入場券は共通券になっていて、圜丘(かんきゅう)、皇穹宇(こうきゅうう)、祈年殿(きねんでん)の主な三箇所を見ることができる。
 一般に我々が天壇と意識するのは、この祈年殿のことである。この中で、明、清王朝のが五穀豊穣と国の平安を願って祭祀を行った。
 寒風が吹く北京の一月の午前中でも、観光客は多かった。