趣味ー瀋陽日記

 「日本事情」を教える授業の中で、「日本人の労働観」という単元があって、年間総労働時間の国際比較や年次休暇の取得日数や取得比率などのデータを示して、相変わらず「ワーカホリック」の日本の現状について話したりしていたが、「仕事か趣味か」という問題を学生にアンケートしてみた。予想通りというか、ビックリしたというべきか、(僕にとって)意外な結果が出た。今の学生は1994年から95年にかけて生まれた。まさに90后(ジューリンホウ)世代である。
 「あなたは仕事と趣味とどちらが大切ですか。」という問に対して、
 仕事と答えた者は23%
 趣味と答えた者は52%
 両方と答えた者が25%  だった。

 儒教精神の本場、中国で仕事よりも趣味を選択したのが倍以上というのには恐れ入った。単に学生で親がかりの生活しているからとも考えられるが、それだけでもない。多くの学生が、趣味と仕事が一致すればそれに越したことはないという意見を披瀝していた。
 確かに、僕が若かった頃も、趣味と実益の一致などということを夢見ていたなと思いながらも、これが中国の若い世代の意識なのだと実感した。僅かに2クラスの、日本に留学を希望している学生達を対象に聞いたのだが、「仕事があればなんでも」「大学を出ても仕事があるとは限らない」と言われている中国の中で、この結果は意外だ。やはり、一人っ子政策のたまものだろうか、個性尊重ということにはとても敏感な世代だ。この世代は、日本の若い世代と同時代的な感覚で生きていることは確かだと思った。分析が甘いかも知れないが今日はここまで。