北塔ー瀋陽日記

 昨日8日(金)は授業がない日でもあって、久しぶりに妻と外出した。瀋陽に6つの塔があることは以前にも書いたが、西塔、東塔、仏舎利塔、白塔、南塔と5つまでは回ったが、最後に北塔が残っていたので、そこに行ってみることにした。桂林から戻ってしばらくは僕の調子ももう一つで、授業が始まったこともあってどこへも外出していなかった。妻が翌日日本に戻るので、大慌てでセットしたようなものだ。バス路線を調べていて、10時半の出発の予定が、10時45分になってしまっていた。地下鉄の瀋陽北駅を二駅北上したところの「中医薬大」駅で地下鉄を降り、そこから東に崇山東路を数分歩いたバス停から4駅目の「北塔」バス停で下車した。そこから、地図に無い小路を南に300メーターほど歩いたところに、突然北塔の尖塔が見えた。道路は雪解け後の瀋陽の街そのもので、かなり汚い。まさに、下町そのものと言った雰囲気である。塔を右に見ながら塔の何面まで来るとやや広い公園があった。年寄り達が、歌を歌ったり、体操したり、遊具で身体の訓練をしたりで、寒い中にも、かなり、賑やかだった、折から、小学校の終業時間なのか、祖父母に連れられた小学生の姿があちこちで見られた。
 昼時を過ぎていたので、持参した、バナナとおかきなどを食べて飢えを凌いだ、近くに餃子屋などがあったが、外出先の食事を控えていたので、それが昼食になった。
 北塔は他の塔とは異なって、金ぴかの仏像が塔をぐるっと取り囲んでいたり、マニ車が20個ほど設置されていたりとチベット仏教の特色がよく出ていた。驚いたことに、塔の前の礼拝壇で1婦人が五体倒地に余念が無かった。一分間ほどで10回ほど五体倒地をくり返し、1分ほど休んではまた、一分間の祈りをくり返していた。明らかに何かの祈願があるらしいことは目に見えた。更に忘れがたいのは、寺院の入口に金属食器を置いて小銭をねだる人がいるかと思えば、中で近づいて来た老人が「何も食べていない。お金を恵んで欲しい」と言うのに出会ったり、何かと刺激の多い寺院であった。