陽朔ー桂林日記

 陽朔は小さな街だった。小さな街ではあるが、「小桂林」のような風光が多くの観光客を惹きつけるらしい。飛行機の中で見た新聞でも2月24日の元宵節(旧正月から15日目の小正月)には10万人が熱狂したと報じた記事の中に「湯圓に舌鼓を打つ外国人観光客」の写真が載っていた。「湯圓」とは「元宵」の南方の言い方である。実はこの元宵を私達はそれと知らないうちに24日の朝に頂いていた。学校の調理の女性達が気を遣って用意してくれたものである。
 辞書によると「元宵」については次のように書いてあった。
《①元宵節、②=〔浮圓子〕(〔南方〕湯圓)〔圓子〕一種の餡入り団子:旧暦1月15日、すなわち元宵節の日に神に供える、〔山査子〕(さんざし)〔芝麻〕(ごま)・〔核桃〕(くるみ)等に砂糖を入れて餡を作り、それを小さい玉にして水につけ、餅米の粉を入れた平たい器の中で揺すぶって米粉をまぶし、これを数回くり返して相当の大きさになったのをゆで、ゆで汁と一緒に碗に盛って食べる。煮たものを〔煮元宵〕、油で揚げたものを〔炸元宵〕という。》
 甘ったるい感じの、お汁粉の中の餅のような味わいだった。
 さて、この町は周囲を奇岩名峰が取り囲んだ、写真に撮りやすい街であった。西街と呼ばれるメインストリートは、石畳の道で華南特有の建築様式の建物が軒を並べている。洋人街とも呼ばれ、ホテルや洋風レストランや土産物屋が軒を連ねている。桂(金木犀)花を使ったお茶や飴、ミャオ族の手工芸品、福利古鎮の扇子などの名産品やお土産が往来に面して陳列されている。玉の店で印鑑を彫っているのが目に止まったが、以前西安で作って貰ったものは全く使っていないので、今回は素通りした。
 
小さな池が沢山あり、2月の末なのに釣り人が糸を垂れたりしていた。

池に映る名峰がこの陽朔の売りなのだろうと、納得しつつ何枚かカメラに納めた。