弁論ー瀋陽日記

 瀋陽市大学生高校生弁論大会を毎年開催している。今回が17回目になる。毎年盛況だったのだが、昨年頃から、日本語学習者の減少に伴って、やや熱気が衰え気味である。その原因として考えられるのは、一時の日本語ブームが影を潜め、英語熱といっていい「英語ブーム」が第一にあげられる。英語圏への留学は以前、相当の大金持ちで無いと子弟を欧米に送り出せなかったのだが、昨今は、中流の上の階層の子弟も留学できるようになってきた。それだけ、保護者の収入が増えたことによるが、やはり、欧米に対する憧れがますます高まってきていることも背景にある。
 一方、日本語はここ数年来の「尖閣諸島」の問題をきっかけにやや下火になりつつあったところに、東日本大震災及び福島原発事故などの影響で、日本留学を手控える傾向が出ていた。それに、追い打ちをかけたのが、「島の領有」の問題である。ブログでもたびたび書いてきたが、日本に対する理解が深い本校の保護者の中にも動揺が走り、子どもの留学を日本から欧米に、あるいは中国の大学に変更させる動きが少なからずあった。
 こうしたことから、日本人教師が学校にいて日本語を教える高校は本校を含めて少なくとも7校はあったのだが、現在は、僅かに4校になってしまった。
 従って、弁論大会はこの4校を中心に争うのだが、本校からの出場者は今年は1名増え、4名となった。この4名の原稿チェックから始まって、いよいよ、発音のチェックなどに忙しくなってきた。
 また、毎年出場している、「高校生による日本語スピーチコンテスト世界大会」への東北地区予選が今年は本校で行われることになった。この2名の出場者の指導も同時に行わなければならないので、しばらくは、これらの指導に忙しくなるだろう。