紗窓ー瀋陽日記

 纱窗(sha1chuang1)=①紗張りの窓。②網戸:紗あるいは金網を張った窓。
 日本はもう夏日だと妻から聞いた。昨夜などは午後9時過ぎでも、室内で28度あったそうだから、さぞかし暑かったことだろう。それに引き替え、当地は昨夜は22℃、一昨夜は17度であったから、その違いは歴然。日本人教師の一人は「夏風邪をひいた」と言っていたほどだ。今夜は午後11時(日本時間12時)で22度だから、比較するのも悪いが、しのぎやすい。まだクーラーを本格的に入れたことはない。しかし、夜な夜な侵入するあの生物だけは見境がない。まことにか弱い体つきなのに、一旦、針刺されるとその痒みたるや言語を絶する。シベリヤの奥地、ツンドラの蚊は、「さぞかし、猛烈だろう」と思わせるすごさである。寮の同僚の「まだか」という催促に急いで、寮の管理人と掃除のおばさんに直訴した。
 しかし、網戸という単語が思いつかない。困り果てて「防虫網」という訳のわからない中国語(?)を言い立てたのだが、二人とも、目が点になっている。食堂の窓に目をやると既に網戸がかかっている。論より証拠(こんなときに使うのか?)。指さすと、二人とも即座に理解した。その日のうちに網戸が入ったのは言うまでもない。一旦理解すると仕事が速い。この点は中国にありながら、かなり日本的なペースである。
 今は快適な夜風に吹かれて、この稿をポツポツと打っている次第だ。
 しかし、瀋陽の蚊は猛烈にかゆいぞ。ゆめゆめ油断するなかれ!