鳳凰山ー瀋陽日記

 毎年この時期になると、学校の企画で「外国人教師一日旅行」が企画される。今年は、丹東への日帰り旅行の希望が多かったので、僕を含めた3人にとっては一昨年訪れているだけに、二回目となった。定番通り、斷僑、鴨緑江遊覧のあと、鳳凰山を訪れた。
 
鳳凰山は、遼寧四名山の一つに数えられ、気勢雄偉にして壮麗、四季の景色はそれぞれ異なり、文物古跡もこれに同じく、重点の景観は100箇所余り、と称せられている。
 初めての若い女性二人とガイドのリュウさんは麓の散策で山頂は行かないというので、老齢の四人が張り切って、ともかく行けるところまで行こうと出かけた。
 入山料が80元、電動車が片道10元、都合90元をリュウさんが支払って、後のロープウェイ代などは自費でと言うことで、勇躍、電気自動車に乗り込んだ。確かに、徒歩だと1時間はかかるといわれる急峻を電動車が登る。20分ほどで中間駅に着くと、そこでまた10元を払って別の電動車に乗り換えるシステムだった。なんだか少し「詐欺にあった」様な気分で10元払って、先を急いだ。制限時間は2時間と約束したので、のんびりはしていられない。2台目の電動車の終点から、5分ほど歩いたところに、ゴンドラリフトの乗り場があった。一人50元(片道)、二人掛けのペアリフト風のゴンドラである。
シートが狭いので、アベックには快適だろうが、こちらは老年の二人乗り、風景に見とれたり、ロッククライミングをする若者に注目したりしているうちに山頂駅に着いた。標高は800mぐらいのようだ。
 そこからは100mほどの高低差を急峻な岩場を上り下りして山頂にたどり着くのだが、目測では上り下りに1時間は見ておかなければならない。ともあれ、「行けるだけ行ってみよう」の突貫精神で(中高年の登山者に事故が多いのはこのためか)、岩場を登り始めた。一枚岩の花崗岩と思しき巨石に階段が彫り込んである。比較的新しいものだから、最近の造作なのだろうと一つ目のピークまで来た時、次のピークの途中にザイルに身を縛って、石段を刻んでいる石工の姿と石を掘る鎚音が聞こえてきた。山頂はその第2ピークのはるか向こうに、切り立って突出している。小さく人が動く姿が見えると目のいいFさんがいう。
 「あそこまで言ってみたいなあ」とFさんとSさんが呟いたが、僕は何の準備もしていないし、時間も残り少ないので、また機会があったらということにして、断念して貰って引き揚げた。(続く)