白塔市場ー瀋陽日記

 白塔市場を訪ねるのも1年ぶりである。以前は南北に走る瀋営公路と東西に走る白大公路の交差点の西側がまだ未開通で、その比較的広い道路の両側に露店市場が並んでいた。道路は未舗装で、地面むき出しの所にテントを立てたり、雨晒し

の露店を開いたりしていたから、雨の後などは地面がぬかるんで始末に負えない。おまけに持ち込んだ野菜などの不要な部分(要するに生ゴミ)を道路に並べたりしているから、夏場はひどい悪臭だった。
 1年後には、道路を改修するためか、市場が元の場所から100㍍ほど奥に移転させられて、これもまた、未舗装の広場の一角に移っていた。その裏が、なんとごみ置き場になっていて、ごみ置き場から来るハエなどが並べた食品にたかったりしていたものだ。
それやこれやで僕はもうこの市場には行きたくなくなって、暫く足も遠のいていた。また、同じ頃に同僚の何人かが見つけてきた線路沿いの市場に通うようになったことも、足が遠のく理由にもなっていた。
 しかし、その市場のあとは、完全に舗装道路になっていて、部分的にあった古い市場の建物の跡は駐車場に変わっていた。


 あの市場はどこに消えたのかと探してみたら、以前幼稚園などが入っていた住宅(マンション)の地下に大部分が移っていた。 中には、懐かしい果物屋や、肉屋、豆腐屋、調味料店などが並んでいた。言ってみれば、普通の地下食品売り場という風景だが、過去を知っているだけに、今昔の感が否めない。
 ここもまた、変わっていたのだ。
 ことほど左様に、中国・瀋陽では、あらゆることの「激変」が相次いでいる。中国は、1,2年で劇的に変わることがあるのだ。ましてや、10年前は遠い昔になってしまっているのではないか。 そんなことを実感する。