月餅ー瀋陽日記

 今日が中秋である。この中秋に少し異変が起こっている。日本では余り盛んではないが、この名月の日に月餅を送ったりするのが中国では今も盛んだある。今年も早々と1週間前には学校から贈って貰ったり、親しい学生二人から、一箱づつ贈られている。学校からは一ケース五個入ったのを二ケース贈られた。外国人教師五人に洩れなくである。僕は食べきれない量をどうしようかと思案したあげくに、仲間の会に茶菓子として持ち込んだ。意外にも皆喜んで手にしてくれた。そこで、始めて例年ならどの学校でも支給されていたのに、今年は支給されなくなったと聞かされた。理由は、習近平政権になって厳しくなった、公的機関の贈答の禁止規制であった。
 今中国では「反四風」と呼ばれる、綱紀粛正のキャンペーンが行われている。

《・・・「反四風」と呼ばれる党の風紀・規律粛清キャンペーン、密告奨励などが、イデオロギー管理強化の手法として使われている。
 反四風とは、党内の形式主義官僚主義、享楽主義、奢靡(しゃび)を糾(ただ)すという意味で、たとえば公務員の「月餅(中秋の名月の時期に月餅を贈る習慣)」の贈答禁止通達などもこの流れの中で起きている。》(『チャイナ・ゴシップ』福島香織
 
 確かに官僚や公務員に対する接待や贈答を一掃しようという心意気は諒とするのだが、「月餅よ、お前までもか」と慨嘆してみたくなる。別に月餅がそれほど好きでもないのだが。そのあおりでか、デパートやスーパーの月餅売り場は閑散としているらしい。ある店では例年の7割の売り上げが見込めるかどうか分からないそうだ。とすると例年の3割近くの月餅が宙に浮く。中国全土ならどれ位の月餅の山になるのだろうかと想像してみるのだが、僕の想像力を超えている。
 でも、例年なら中秋節の後に値下げしていた月餅が早々と値下げして売られるだけかも知れない。そうなったら買ってみても良い。
 実は、大学やネットの世界ではいろんなことが進行しているようだ。
 《大学に通達された「七不講」(7つの講義してはならないテーマ、普遍的価値・報道の自由・公民社会・公民の権利・中国共産党の歴史的過・権貴資産階級・司法の独立)などを見てもそう感じる。
 これに加えて、前回のコラムでも紹介したインターネットの大デマ退治にみられるような「みせしめ的」逮捕や・・・》(同前)
 この引用は先の引用の前の部分である。興味のある人は、日経のサイトで確認してみてほしい。