家事ー瀋陽日記

 家事を誰が分担するのかということは、日本人にとってもなかなか難しい問題で、僕なんかには、余り語る資格はない。若いときから「思想は革新的だが、体質は保守的」と妻から断言されているのだから、余り偉そうなことは言えない。僕の生活態度、特に家事に対する意識は決して褒められたものではない。
 とは言え、中国での単身生活も長くなると、料理や洗濯、掃除(よくやって週に1度)などは一応こなすようになった。時々、様子を見に来てくれる妻の目から見ると、「洗濯も掃除もなっていない」ようなのだが、本人がそれで良いのならしようがないとあきらめ顔である。
 自分のことはこれまでにして、生徒の家庭ではどうなのだろうとアンケートしてみた。
 分母は少し減って、38人である。うちの学校のような私立学校に子どもを進学させ、大部分の卒業生が(約7割)が国外の大学に進学するような経済的な基盤がある家庭のことであるから、これを以て中国の現状だなどとは微塵も思わないが、一部分の都市生活者の生活意識としては参考になるかも知れない。
 さて、料理は誰が作るのか。
 母:39.4% 父:21.1% 祖父母:5.3% 両親:28.9% 家政婦:5.3% という結果になった。日本に比べて、父の比率がかなり高い。これまでにも、料理はお父さんの方が上手だと言っている生徒に何人も出会ってきた。また、両親となっているのは、ほとんど、早く家に帰った方が料理を作るというのは、暗黙の了解になっている家庭が多いからか。更に、家政婦がするという回答にも驚かされた。勿論、クラスメイトからは一斉に「お金持ち」と冷やかされていたが。上海などで盛んな、英語のできるフィリピン人家政婦などがこれからますます増えると予想できる。このデータから伺えるのは、まず、両親ともに仕事を持っていることである。以前に聞いたのでは、母が専業主婦だという家庭は一人だけだったように記憶している。当然、日本のように、「寿退社」だの「育児退社」などはない。では肝心の育児はというと、これは決まってどちらかの(もしくは両方の)祖父母の仕事になる。出産後、小学校入学までの育児は、90%以上が祖父母が行っている。生徒の父母よりも10才ぐらい若い世代では、両親が育てるという傾向も見え始めているが、まだ大勢ではない。
 そして、現在(子どもが寄宿舎生活をする)の家事分担は次のようになった。家事には料理以外の掃除、洗濯、教育(育児)を含めている。
 母:36.8% 父:5.3% 祖父母0% 両親:52.6% 家政婦:5.3%
 父の分担がかなり減って、両親が半数を超えるようになっている。
 中国は両性協同の社会のようだ。自分の家庭と比べて、どう言えばいいのだろうか。