財布ー瀋陽日記

 このブログを見た妻から指摘があった。家事の欄で祖父母がゼロなのは、所帯が別だからでしょうと。全くその通りなのだ。
 住宅事情で述べようと思うが、この欄でも書いたように、多くの家庭は、スープの冷めない距離に祖父母の家がある。食事は祖父母が作るという家は、両親ともに祖父母のところで食事を摂ってから帰宅するというパターンなのだそうだ。日本とはかなり事情が違っている。
 食事も朝は仕事場で、昼も仕事場でという勤め人が多いという。朝食は、家で簡単に済ませて、急いで出勤する人もいるが、昼ご飯は(食堂などが完備している所では)ほとんど全員がそこで食事をする。実質、食事の用意は夕食だけという家庭も多いようだ。だから、先日のアンケートのような結果が出たのだ。ちなみに、僕の学校では、昼食一食は大体、5元(80円)から10元位である。肉類を摂ると10元位にすぐになってしまう。知人のいる大学の職員食堂は一食2.5元(40円)だという。以前は4.5元だったのだが、大学から補助金が出て、値下げしたそうだ。余り美味しくはないと言うが、僕も食べさせて貰った記憶から言うと、味と言い、ボリュームと言い、まあいけるというレベルだった。何とも羨ましい。
 さて、家計のやりくりはどこの国でも問題なのだが、中国では誰が財布を握っているのかという質問をしてみた。(前回と同じく、主として誰がという質問である)
 父:2.6% 母:31.6% 両親ともに:65.8% という結果であった。
 意外に、父だけがという生徒は少なかった。答えた生徒は、母に浪費癖があるので父が財布を握っていて、母の買い物をめぐって、夫婦で口論が絶えないのだと困り切った顔で言っていた(授業が終わってからこっそり打ち明けてくれたのだが)。
 それ以外は、予想通りだった。「両親ともに」がほぼ3分の2に達するのは、両親ともに働いているからであり、この両親ともに働く(つまり女性の職場進出)のは、中国的な平等社会の象徴なのだが、生徒の議論には「一人分の稼ぎでは生活できないからだ」という冷めた見方もあった。
 さて、僕はというと、ずっと妻が財布を握っていたというと、一斉に生徒は歓声を上げた。どういう意味の歓声かは分からなかったが、好意的に受け取っていたように思う。(典型的な日本人男性を見たという会心の笑みかも?)
 世代が変わって、息子たちの家庭では、親とは様相が違うようである。