友好県省ー瀋陽日記

 遼寧省との姉妹県は幾つもあるようだ。総じて、東北三省と友好関係を結ぶ日本の県が多いのは、戦前の歴史と関係しているようだ。しかも、姉妹都市となると数え切れないほどある。
*国際文化振興協会 友好(姉妹)都市提携一覧(日中)www.npo-icpa.or.jp/db/kokusai/yuukoutosi.htm‎
 ネットで調べてみると、中国との友好(姉妹)都市は日本の47都道府県のすべてにある。黒竜江省遼寧省江蘇省浙江省などは、複数の県と友好県を持っている。また、兵庫県などのように複数の省と友好省となっているところもある。
 さて、遼寧省との友好県から友好提携30年を記念する訪問団がある学校を訪れたそうだ。その学校の関係者に聞いたのだが、訪問団の受け入れが本決まりになったのは、訪問の2週間ほど前だったそうだ。受け入れるための準備にかかったのは10日前。何とも目まぐるしい迎え入れであったが、訪問団一行に聞いたところ、訪問の企画と申し入れはなんと今年の3月であったという。
 どうしてそんなに時間がかかったのか。それは紛れもなく、昨今の日中のギクシャクした関係にある。
 3月の申し入れにもかかわらず、いつまで経っても返答がないため、業を煮やした訪問団の会長などが、8月に訪中して強力に押したところ、やっと訪問実現に向けて努力しようと言うことになったのだという。省政府(日本で言う県庁)の担当者が中央政府の担当部処にお伺いを立てるタイミングを計っていたようである。
 その話を聞いて、僕が思い至ったのは、日本の首相の外交姿勢に関する振る舞いである。8月15日の靖国参拝が韓国・中国から注目されていたのは知っていたが、参拝を見送ったことは確実に一つの外交シグナルになっていたようだ。そこで、ようやく中央政府から半ばGOのサインが出されたのかも知れない。そして、先頃の「秋期大霊祭」の参拝を見送ったことが、本格的にGOサインを出す合図になったのだろう。僕の憶測に過ぎないかも知れない。しかし、一県の友好省訪問に対してまで、これほど気を遣い、神経を使って扱っているのを聞くと、日本にいたときに、時の首相の言動を軽く見過ごしていた所のある僕には、少しばかり反省しなければならないような気がする。単なる思い過ごしであればいいのだが。
 さて、県知事以下の訪問団を迎えて、教職員は、報告してくれた彼女も含めてとても緊張したそうだったが、迎える側の中国側のトップ(学校を訪問した)が外事辨公室の副主任であったと聞いて、バランスの悪さに驚いた。省長とまでは言わないが、副省長クラスが随行して欲しかったなと個人的には思った。しかし、省長ともなると薄さんのように政治局員や政治局員候補クラスの人が多いと言うから、知事クラスとはバランスが合わないのだろうか。