学習者数ー瀋陽日記

 必要があって、中国での日本語学習者数を調べていて、意外な数字にであった。

国際交流基金は2013年7月8日、「海外での日本語学習者数速報値」を公表した。それによると、海外日本語教育機関で日本語を学習する人の数は09年比9.1%増加し、過去最高の398万4536人となった。
とりわけ中国での学習者数が09年比26.5%増の104万6490人となり、国・地域別で09年に首位だった韓国(12.8%減)を抜いて、トップに躍り出た。
2012年の日本政府による尖閣諸島国有化以降、中国では反日感情が高まったとされている。
それだけに、中国で日本語学習者が減るどころか増えていたというのは意外な話だ。
「もちろん尖閣諸島の問題の影響が全くないとは言えませんが、それが原因で『日本語離れ』が進んでいるかというと、そうでもないということです」(国際交流基金)》(J-CASTニュース)と報道していた。調査期間が問題だなと考えて他紙の報道を見ると、「調査は3年ごとで、今回は昨年7月〜今年3月に実施した。」(産経新聞7月8日)と書かれていた。
>>学習者数上位10か国・地域の学習者数及び変化
順位 国・地域名  2009年    2012年
        学習者数(人) 学習者数(人) 増減率(%)
1 中国      827,171  1,046,490      26.5
2 インドネシア 716,353  872,406       21.8
3 韓国      964,014   840,187       -12.8
4 オーストラリア 275,710    296,672           7.6
5 台湾      247,641   232,967          -5.9
6 米国     141,244    155,939      10.4
7 タイ      78,802    129,616       64.5
8 ベトナム      44,272   46,762       5.6
9 マレーシア      22,856     33,077      44.7
10 フィリピン      22,362     32,418      45.0
>> 2012年 海外日本語教育機関調査 速報値(国際交流基金
 
 この調査結果について国際交流基金は「中国において、日本のポップカルチャーへの関心を背景にした学習動機や『将来の就職』等経済的・実質的理由に支えられて大学を中心に学習者が伸びています。」と分析している。
 しかし、現場の実感は少し異なっている。高校現場では、朝鮮族の学校などでは日本語選択者が激減し、英語選択者が増加していると聞いているし、日本人日本語教師を数名置いていたところが日本人教師を置かなくなったところもある(学習者数が減ったという理由で)。また、日本留学者数も2010年約100名、2011年約85名(震災のため)、2012年75名(領土問題のため)、2013年65名と毎年のように減っていっている学校もある。
 高校は減っているが、大學は増えているのだろうか。それとも、学習者数と日本留学希望者数とは相関関係がないのか。僕の疑問は解けない。
 11月中旬に詳細な調査結果が公表されるそうだから、その内容を良く検討してみたい。