肖豊4ー瀋陽日記

 「そうか、留学するか、いいね」
 「でも、まだ心配しているの。もし、これは私が衝動的に決めたことなら、どうする」
 「いろいろ悩んだあと得た結論は衝動的な考えではない。決まりだ」
 「そうだね、はい、決まりだ」と私は言った。とたんに気持ちも軽くなっていた。
 「それに、どんなことがあってもパパはずっと君の後ろにいる。ちょっと振り返れば見える距離で支えているから。泣きたいときも、誰かと付き合いたいときも、喜びを分かち合いたいときも、やりきれない思いを訴えたいときも、俺はずっと側にいる」
 今思い出しても、すっごく感動している。確かに父は約束を守った。ずっと私の側にいて、私を支えてくれている。文句を言われても、かんしゃくを起こされても、父はずっと笑顔で私のことを理解してくれている。父あっての今の私である。
 小さい頃からいろいろ教えてくれた。話すことも漢字も、それにいろんな道具も知らないうちに教えてくれた。確かに彼は私のヒーローであった。
 
 もし時間が戻せるなら、車の中の最後の質問に私は答えたくない。むしろ答える必要がないと思う。父がずっと私の側にいるように、私も父の側にいる。今の力では父を守れないかも知れないが、気持ちは変わらない。人生は一つ一つの決定で徹底的に変わるかも知れないが、私と父とのつながりは決して変わらない。何が発生しても。つまり、何があってもパパが私のヒーローであるということも変わらない。以前も、今も、将来も。