大連ー瀋陽日記

 大連へはこれで三回目である。飛行機の一時待避で行ったのを含めると、四回目にはなるが、今回は忙しい日帰りだった。日帰りにもかかわらず、これまでとは違った、大連の顔を味わうことができたように思う。
 仕事は教師の会の大連での動き方、組織形態、中国人教師との付き合い方などを学びに行ったのだが、これはこの場にはふさわしい話題ではない。
 駅前のラマダンホテルでの長い会食のあと、同行者との事前の約束どおり、海鮮料理の店を探した。それも現地の代表者の紹介で、民主広場まで出かけることになった。夕食にはまだ早いからと紹介されたのが何と「漫画喫茶」であった。かつては日本の至る所にあった「漫画喫茶」が大連には生き残っていた。ここはコーヒーなどのドリンクは飲み放題で、一時間20元であった。
 驚いたことには、一階の受付の側のブックスタンドには、日本の週刊誌が5,6種類並んでいた。中には漫画週刊誌もあったので、僕は昔よく読んでいた「bickecomicオリジナル」などを懐かしく手にした。同行してくれた大連の女性は、「美味しんぼ」の次の巻を読んで帰るといって、一階に残った。僕と同行のY君は漫画を何冊か抱えて、二階に上った。
 先客はいたが、どうも日本人らしい。暫く漫画本に読みふけっていると、客が来たが、彼も日本人らしかった。
 彼も下から飲み物を持ってくると、ひたすら漫画に没頭していた。誰も会話を交わすわけではないが、その沈黙の空間がいかにも日本的な気がした。
 彼らは、きっと日本からの派遣社員なのだろうと推測した。
 ともかく、約3万人の日本人がいるとか聞いている街だから、これだけ日本のものが入り込んでいるのだ。
 そうそう、忘れていた。大連駅から民主広場まで市電(チンチン電車)に乗っていったのだが、これも僕が大学生の頃京都でのっていたの同じような古びたのから、今風の車体までいろいろあって楽しかった。案内者の古い車体を指して「あの子はいかにも二〇世紀の車体だね」いった愛着に満ちた言い方が心地よかった。