玉龍雪山3ー雲南日記

 索道駅(ロープウェイの麓駅)には長蛇の列と書きたいところだが、ここは中国、雲霞のように人々が押し寄せてきた。索道駅から甘海子の駐車場に帰る人々の群れだ。時刻はまだ11時過ぎなのにもう山頂から下って来た人がこれほどいるのには驚いた。恐らく甘海子から玉龍雪山、蘭月谷、白水河、雲杉坪、厖牛坪(ぼうぎゅうへい)、黒水河、を経巡って、遠く虎跳(こちょう)峡まで足を伸ばして、一日で駆け巡る一日旅游の旅行客なのだろう。そこで、早朝6時半頃、麗江の古城水車の公園にツアー客が幾つも集合してグループになっているのを見かけたが、そういう客だったのだ。
 確かに麗江の狭い古城内に10指に余る旅行社が軒を並べていたが、ああした旅行社が個別に集めるツアー客の数は決して少なくないだろう。ツアーで行けば結構割安になるから、慣れた中国人の観光客はそうしたツアーで名所を見て回るのだという。
 降りる客に比べて登る客はそんなに多くはなかった。僕らは若い女性の3人連れと一緒になった。6人掛けのロープウェイ(というよりゴンドラ)だが、1人分の席が空いている。これ幸いに、僕は外の景色を頻りと写真に撮った。いちいち感嘆し、感激してシャッターを押す。その点、当節のデジカメは便利だ。思いっきり取って、不味いのは消去すれば良いのだから、フィルムの時代とは隔世の感がある。フィルム会社が倒産したり、廃業するのも無理はない。

 ロープウェイは全長約3km、3356mから4506mまでの1150mの標高差を約15分で登り切ってしまうことになる。途中で気圧の変化が感じられはじめ、慌てて持参した酸素を吸入した。思ったほど爽やか感はないのだが、幾分呼吸が楽になってくる。
 山頂駅の出口から外に出て、一面の白さに目眩がした。玉龍冰川(氷河)とはいうものの、氷河の上は一面の白雪であった。その上に延々と桟道が続いている。桟道だけではなく、氷河の上にも多くの観光客が散らばっている。
 四方を見わたして、思わず呟いた。目的地に着いたぞ、やっぱり来て良かったよな。何とありきたりの感想だろうとは思うが、それ以上に言いようがない。