玉龍雪山4ー雲南日記

 
ロープウェイ山頂駅の出口には広いウッドデッキの展望台があって眺望が楽しめるようになっていた。そのウッドデッキの人の少ないところに座って、少し遅い昼食を食べ始めた。が、下から冷たい風が吹き上げてきたので、端から内側に場所を変えた。今度は大丈夫だ。昼食と言っても下から持ってきたパンやデコポン、飲み物といった軽いものだ。でも、4506mのデッキで食べる食事はまた格別のものがある。
 さあ、桟道をあるけるだけ歩いてみようと歩き始めて、妻が指摘した。これでは白内障になる。晴天の雪のゲレンデをゴーグル無しで歩くようなものだから、大方の人は想像が付くだろう。まして、夫婦会わせてまともな目が一人分しかない僕らにとっては、目こそ命なのだ。急いで駅の売店に引き返して、サングラスを2個購入することにした。妻はフレーム付きのサングラス(160元)を僕は眼鏡の上に被せるタイプのフレームなしサングラス(90元)を購入した。物入りだが、目の健康には替えられない。(その写真は前回の写真2片)

 4500mの高所を歩くのに、早足は禁物だ。小さい歩幅でゆっくり歩くのだと登山家の田部井さんの映像で語られていたのを思い出した。ゆっくり歩いているつもりだが、すぐ息が上がって、頭が痛くなってくる。そこで、持参した酸素ボンベを愛用することにした。中国人観光客があっちこっちでお尻を直に橇にして氷河を滑り降りたりしている。彼らは息が上がらないのか不思議だ。何度か小休止をしながら、4580mぐらいの所で大休止をした。それまで、酸素を使っていなかった妻が、もうここまでで良いという。僕は、まだ元気があるのでもう少し上まで言ってみると言うと、行ってらっしゃい、ここで待っているという。
一つのウッドデッキまで来るとまた次を目指したくなる。そうこうするうちに、所々に標高を書いてあるプレートが目に着いてきた。一つを目にするとまた次を目指そうと思い立って、登り続ける内に最終のウッドデッキの展望台







に着いてしまった。4680mと書いてある。生まれて初めて登った高さだ。
 周りを見わたすと、妻の姿ははるか下にぼんやりと見える(ような気がする)。山頂は目の前に威圧するように天空に穂先を尽きだして泰然と聳えていた。