住宅ー瀋陽日記

 中国の住宅事情に興味があったので、友人に付き合って住宅を見て回ったことがある。それも買い物に出た弾みに、住宅展示場を回る車に誘われて、興味半分で行ってみようということになった。友人は勿論中国語が堪能である。行ったのは、瀋陽航空航天大学と遼寧大学をエリアに抱える北部の新興住宅地である。
 遼寧大学から少し北に行って、西の方に向かったところは、蒲河を背景にした住宅地の開発に大わらわであった。中国の不動産バブルが弾けるという噂があったが、そんな噂も何のその、辺り一面新興マンションの鎚音が絶えない。この辺りは道義経済開発区に属し、新しい工場などを誘致しているとは聞いていたが、立ち並んでいるのは住宅・マンションばかりだった。さしずめ、リコーチャン氏の「地方都市化計画」の一環なのかも知れない。
 はじめに訪れたところは、蒲河を借景にした公園を抱える広大なマンションであった。同行したのは、息子が昨年大学を卒業して、秋に瀋陽の企業に就職したという夫婦と息子の三人連れと我々のグループである。
 真っ先に案内された展示販売センターで暇をもてあましていると、先の三人連れが住宅の現場を見に行くという。早速同行したが、日本の住宅展示場とは全く様相が違うのにはびっくりした。正に工事途中の現場を目指す部屋まで歩くことになった。床も壁もコンクリートむき出しである。施工業者に日本の大手ゼネコンのK社が名前を連ねていると言ったが、確かに外観は巨大な30階建てぐらいのビルである。
 案内されたのは1LDKタイプの物件だったが、40平米ほどのもので公示価格は20万元(5千元/1平米)のところ、キャンペーン期間中なので18万元弱だという。日本円にすると約300万円〜340万円と言ったところだが、貨幣価値の実勢から言うと、5倍の1700万円ぐらいと考えたら良いだろう。しかも、当地では内装は購入者の自己負担なので、バストイレ、台所、壁紙、上下水道、電気配線などの内装費すべてが購入者負担だから、先の価格に上乗せすること8万元から10万元は必要だという。先の計算をやり直すと、28万元×17×5=2380万円になる。日本だってこの値段はかなり高値だと思う。(続く)