陽朔3ー桂林日記

 遇龍橋から下を見ると沢山の竹製の筏が川岸に並んでいた。下に案内されて、2人一組で筏に乗り込んだ。僕らは2人連れだが、1人で来ているアメリカ人のおじさんは、ペアがいなくて1人で載っている。声を掛けると、「俺はVIP扱いだ」とか何とか言っている。他の二組はペアシートである。

 筏が川の中流域に乗り出すと漁師の筏が近づいてきた。鵜飼ショーの始まりだった。日本の鵜よりも一回り大きい鵜(魚鷹(カワウ))が3羽筏に乗っている。漁師が首をくくって、河に放つと瞬く間にカワウは大きな鯉のような魚を銜えて川面に顔を出す。筏に引き揚げて、首を絞って魚を吐き出させるのは、日本の鵜飼と同じである。日本の鵜飼のルーツがこんなところにあったのかとその発見に驚いた。
 遇龍河は璃江の最大の支流と称せられているが、今は渇水期なのか水量は思ったより少ない。回りを奇山名峰が取り囲んだ中をゆっくり筏で遡るのはまるで桃源郷を探訪しているような感じである。この場を2kmほど遡ったところが「世外桃源」として知られる名所である。
 道路地図の解説によれば「純朴・清潔な風景はさながら、陶淵明の『桃花源記』の中の人間が聖地に入っていくのを彷彿とさせる」と言った風景である。とすると、この白沙村は桃花源であったのか。どうりで、ネズまで人を恐がりはしないのだ。
 筏はゆったりと下って、遇龍橋の下をくぐる。何とものどかで、溜息が出そうなほど、時間がゆっくりと流れていく。